いっぱい寝た次の日
昨日は本当に一日中眠っていた。
当然薬も飲んでいないので、離脱症状に襲われる。視界がガクガクと揺れる。私はこれを「フレームレートが落ちた」と表現している。
そんな通信状況の悪い視界は、なんだか世界を作り物じみたもののように感じさせる。私だけが、この世界がゲームの中だと知っているような、そんな感覚。もしかしたら、本当にそうなのかも。
もしそうなら、もっと上手く踊れるような気がする。
私が眠っていた間に、世界は変わっていた。地震が起こり、世界は雪に包まれ、実家には転勤辞令が出た。私が眠っている間にも世界は動いている。そんな当たり前のことに、びっくりする時がある。
実家では、朝に起きて、ご飯を食べて、お風呂に入って、夜に眠ることは難なくできるけれども、ひとりになった途端にぜんぜんできなくなってしまう。昨日だって眠り続けてしまったし。
違いと言えば、そこに他者がいるかどうか、だ。
その違いが、私に何を齎しているのだろうか。分からない。分からないから、ままならない。
お腹がすいた。ごはんを食べないまま外に出てきてしまった。
なんなら着替えてすらいない。部屋着のまんまだ。適当なスウェットに、適当なズボン。服の種類の名前って覚えられない。
その上にダウンコートを着ると、なんだか大丈夫な気分になる。いや、きっとダウンコートがなくてもきっと大丈夫なのだ。
バスに乗る。イヤホンをする。
最近の星野源も好きだが、今日は初期の星野源の気分だったので、時系列順に入れたプレイリストの一番最初から再生する。『ばらばら』が流れ出す。
なんだかあったかい気分になる。
大学に来てみたら先生が居なかった。仕様がないので、お昼ごはんを食べて帰った。
今日は外に出られてえらかった日、ということにしよう。
バスは定刻には来ない。冬の常である。冬以外だって、こんな感じでも良い気がする。キッチリしすぎるのは息が詰まる。
帰ってきたらへとへとになってしまったので、お布団の住人になった。布団は全てを受け入れてくれる。