振り返り Ⅲ

3月1日


 転勤に伴い、再び引っ越すこととなった。
 昨日今日と引越し業者が来て、見積もりを出してもらった。
 一社目のひとは柔軟剤のにおいがすごかった。いや、髪を巻いていたし整髪剤だろうか。とにかく香料のにおいを纏っていた。
 二社目のひとは、腰からメタモンのなにかをぶら下げていた。ビシッとスーツを着こなしていただけに、ギャップがすごかった。なんだったんだろ、あのメタモン。あと、デコが出てて眼鏡をかけており、良いキャラデザだった。(キャラデザ言うな)
 今までバカみたいな距離の転勤ばかりだったので、今回の値段はなんだかかわいく見える。それでも高いものは高いのだが。

 私にとって、引越しは四度目である。一度目は物心がつく前だったので、よく覚えていない。
 二度目は小学六年生になるときだ。親友と別れを告げた。最初はよく電話で話したものだが、だんだんと共通の話題もなくなり、いつしか連絡は途絶えてしまった。
 三度目は大学二年のとき。既に一人暮らしをしていたため、あまり感慨はない。そして今回もまた、そうである。

 スマホをアンドロイドからアイフォンに買い替えて二ヶ月ほど経つが、通知が勝手に消滅すること以外は不自由なく使えている。
 とくにアイフォン向けは洒落たスマホケースがたくさんあるが、なんとなく食指が動かなくて、安い透明なケースに落ち着いている。スマホを使い始めてから今まで、透明なケース以外を使ったことがないので、たぶん死ぬまでこんな調子なのだろう。
 せっかく透明なのだから、ステッカーでも作って内側に入れてみたりしたい。楽しそう。

3月3日


 昨日はとにかく雪がひどかった。父曰く、膝丈まで積もっていたらしい。この時期にドカ雪は珍しい気がする。

3月5日


 昨日は雪の中30分歩くことになったからか、よく眠れた。
 再び膝まで積もった雪をかく。

3月7日


 腹を切り裂かれる夢を見た。
 私の夢は痛覚がないので痛くはなかった。その時思ったのは、相手への怒りではなく、「私の腹の中はどうなっているのだろう」であった。
 「腹の内を探る」とか、「腹落ちする」とか、腹はそういう使われ方をする。ならば、私の腹の中への好奇心は、私の内心への好奇心なのかもしれない。たしかに、こうして日記を綴るのは、私の腹の中身を確認するようなものだ。