ド鬱

 テストのため、布団から脱出。
 何もしたくない。帰りたい。何もかもが嫌だ。この三つが頭の中でループする。
 後ろから聞こえる話し声が不快で不快で仕方がなかった。呼吸音さえ不快。
 助けてくれ。
 明日のことなど考えても仕方がない。どうにか今日を終わらせなければ。しかし今日が終われば明日が来る。ならば、今日のことを考えることは、明日のことを考えるのと同じことではないか。はやく今日を終わらせたい。しかし、今日が終われば明日が来る。明日が来ないように今日を終わらせるには?
 頭の中で、シャン、と音が鳴る。
 こんなにもひどい気分なのは、腹が減っているからでしょうか。それとも、薬を飲まずに寝たからでしょうか。助かりたい、その一心で飯をかきこみ薬を飲み込む。自殺願望者が満腹だっていいじゃないか。
 私は屑だ。世界の片隅で息を潜めているのがお似合いだ。だというのに、思い上がって社会の一員になどなろうとするから、このような目に遭うのだ。私は社会人などには成れぬ。人かどうかすら怪しいものだ。
 嘘をついてその場を誤魔化そうとしたとて、その一秒後に矛盾が生まれるのでは意味がない。二重に愚か者であるということを相手に示すだけだ。
 助けてくれ、と私の中の私が叫ぶ。お前に救われる価値などないよ。
 生きていても迷惑をかけるだけ、ならばと死んでも、それはそれで迷惑なのだ。迷惑の総量はどちらが重い?
 助けてくれ、助けてくれ、助けてくれ……
 私が私である限り、この苦しみからは逃れられず、つまり助かるには、死んで私以外になるしかないのだ。
 苦しい。助けてくれ。けれど救われる資格などない。ならばせめて楽にさせてくれ。

 帰宅して睡眠を取った。
 八時になったら課題をしよう、いや八時半だ、いや九時だ、などと言っているうちに十一時になった。その間、ずっと天井を無心で眺めていた。
 いっそ正気を失えたらどんなに楽だろう。しかし酒を飲んでもちっとも愉快にならないし、思考が鈍ることもないから、私は中途半端な理性に苛まれ続けている。
 脳みそをぐちゃぐちゃにかき回す想像をしてみる。脳が苦しみを生み出すのなら、壊してしまえばいい。しかし、脳以外が原因なら、その場合はどうすればいい?
 誰か殺してくれ、とは思わない。誰かに殺人の罪を負わせるほど、私に価値はないから。