プロローグ

 びゅうびゅう、びゅうびゅう。
 ごうごう、ごうごう。

 耳元で風の音がする。

 私は永遠とも思える時間、落下している。
 周囲は星空のように、暗闇のなかに小さな光が瞬いている。

 あるいは、本当に星空のなかに居るのかもしれない。

 ——ぐにゃり。

 突然、視界が歪む。

 露光を長くした写真のように、光が尾を引く。

 耳元の音が消える。

 頭上を見る。

 ——月だ。
 ——月の裏側だ。

 落ちる、
 落ちる。
 
 いや、

 月の裏側に、吸い込まれるヽヽヽヽヽヽ